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197.会社が永続して発展し続ける条件とは?(その1)

2019/09/17

ビジョナリー・カンパニーを久しぶりに読み直しています。
1994年に世に出るや、全米で5年連続ベストセラーになった書籍で、広範な調査と深く鋭い分析で「永続する企業の8つの法則」を紹介しています。

ビジョナリーとは、
「先見性」「未来志向」を意味し、
ビジョナリー・カンパニーとは
・業界で卓越した企業である
・見識のある経営者や企業幹部の間で広く尊敬されている
・私たちが暮らす社会に、消えることのない足跡を残している
・最高経営責任者(CEO)が世代交代している
・当初の主力商品(又はサービス)のライフサイクルを超えて繁栄している
・1950年以前に設立されている
と定義されています。

最終的に選ばれた会社は、3M、アメリカン・エキスプレス、ボーイング、GE、IBM、ジョンソン・エンド・ジョンソン、マリオット、メルク、P&G、ソニー、ウォルト・ディズニー等の18社で、
これらの企業が、なぜ時代の変遷を乗り越えて、ライバル企業よりも優れた業績を上げてきたのか、その共通点をあぶり出し、今もなお沢山の企業に影響を与え続けている書籍です。

さて、今回はその1つ目の共通する特徴、
「時を告げるのではなく時計を作る」を振り返ってみます。

多くの企業では、素晴らしいアイデアや製品を世に出すことに血眼になりますが、ビジョナリー・カンパニーでは、ビジョナリー・カンパニーになるための「組織を築く」事に重点を置きます。
素晴らしいアイデアや製品もいつか時代遅れとなり、廃れていく。カリスマリーダーもやがては代替わりの時期が来たらいなくなる。しかし、素晴らしい組織を作る事を最優先にしていれば、困難を乗り越え素晴らしいアイデアや製品を世に出し人々に喜ばれ組織は存続する事ができる。
この事を例えて言うならば、大昔に時を告げる事のできる天才的な人がいたとして、その人がいなくなればたちまち人々は時刻がわからなくなり困りますが、もし「時計」を作っていたら、時を告げる人がいなくなっても人々は時刻を知るのに困らない、そう言う意味です。

ビジョナリー・カンパニーにおいて、最も重要な事は素晴らしいアイデアや製品を世に出す事ではなく、その最高傑作は会社そのものであるということ。

例えば、
ソニーは1945年に井深大が設立、画期的なアイデアや製品もなくスタートし、会社が始まった後でどんな製品を作るか意見を出し合った。和菓子やミニ・ゴルフ場、炊飯器、テープレコーダーを手がけるも売れず、電気座布団で現金収入を得ていたとのこと。P&Gはなんの変哲も無い石鹸とローソクの製造から始まり、メルクはドイツの化学品を輸入するだけの会社だった。3Mは研磨剤原料の採掘事業失敗でサンドペーパーを作り、ボーイングは水上飛行機で失敗し家具事業で存続、ディズニーは「不思議の国のアリス」は不振だった等、必ずしもスタートが良かった訳ではなかった。
つまり先見性のある起業家が、製品アイデアや市場についてのビジョンを武器に会社を設立する、というビジネススクールで教えているような法則ではなく、我々の思う常識とはかなり違って逆に希望が持ててしまう事実に改めて驚きがありました。

もちろんビジョナリー・カンパニーも後には様々な素晴らしいアイデアや製品を生み出し続けていく訳ですが、途中には事業の失敗や業績不振、買収される危機等、大変困難な時期も数多く遭遇しています。

しかしそんな時こそ、永続できた理由として、
「絶対に、絶対に、絶対に諦めない」を座右の銘にしているとのこと。こうも書かれています。
『では何を粘り抜くのか?答えは会社である。アイデアを諦めたり変えたり発展させたりする事はあるが、会社は絶対諦めない。
会社の成功とはアイデアの成功だと考える起業家や経営幹部は多いが、そのアイデアが失敗した時に会社まで諦める可能性が高くなる。
そのアイデアが運良く成功した場合、そのアイデアに惚れ込んでしまい、会社が別の方向に進むべき時期が来ても、そのアイデアに固執しすぎる可能性が高くなる。しかし、究極の作品は会社であり、あるアイデアを実現する事でも、市場の機会を捉える事でもないと見ているなら、良し悪しは別として、1つのアイデアにこだわる事なく、長く続く素晴らしい組織を作り上げる事を目指して粘り抜く事ができる』
と書かれています。

会社を製品の手段としてみるのではなく、製品を会社の手段としてみる。
井深大の最高の製品はウォークマンでもトリニトロンでもない、ソニーという企業でありその企業文化である。ディズニーはディズニー社であり、人々を幸せにする能力である。

そして
『そのためには、製品ラインや市場戦略に関して考える時間を減らし、組織の設計について考える時間を増やすべきだ』
『どんなに優れたサービスも、やがては時代遅れになる。しかしビジョナリー・カンパニーは、今の製品のライフサイクルを超えて、会社として変化し、発展し続ける力がある限り時代遅れにはならない。カリスマがこの世から去ってもビジョナリー・カンパニーが死に絶えるとは限らない。』とも書かれています。

素晴らしいアイデアや製品に注目するのではなく、それを生み出し続ける人や組織をいかに作るかに焦点をおく。

次回はその組織に必要な性格、
「理念」について触れたいと思います。